引退のご挨拶

「プロとして音楽の道へ進みたい。」そう決めた時、母から言われた言葉がありました。
「ちゃんと最後までやり切れるんだったら、反対はしない。でも途中でへこたれるかも・・・と思うのだったら、周りに迷惑をかけるだけだからやめなさい」と。
その言葉で覚悟が決まり、およそ13年間。 デビューからもう少しで11年目を迎える2014年9月23日。
皆様のおかげさまで、ラストコンサートでも”悔いなくやり切った!”と実感できる、音楽活動の最後を迎える事が出来ました。

思い返せば、いつも私は一人じゃありませんでした。
デビュー前も、プロとしての身体作りに始まり、作詞や作曲などの作品創りも、プロデューサーやデイライトスタジオのスタッフ達に時には叱られ、時には褒めてもらい、一緒にシンガーソングライター福井静の基礎をつくってきました。
デビューをする直前、プロとしての活動の拠点を所属するスタジオのある東京と、家族や多くの知人友人が居る、私の生まれ育った鹿児島を選んだのは、その当時では珍しがられましたが、今となっては私の音楽活動にとって最善のことだったと思っています。

デビュー時には、母校の鹿児島実業高校の同窓会で、先輩方に「気張れよっ!」と力強く背中を押していただき、心強かったですし、 デビューしてからしばらくの間、鹿児島県内色々な場所でやらせていただいたCDショップでのインストアライブも、それぞれの場所でお店のスタッフ方々にお手伝いをもらい、沢山歌わせていただきました。
初めの頃は、足を止め、耳を傾けて下さる方がいない所から、段々聴いて下さる方が増え、、、
その一回一回のライブで、課題や自信を頂き、励ましを頂き、頑張ってこられたと思います。

鹿児島県内をはじめとして九州各地、そして東京と、数えきれないほどの場所にお仕事で呼んでいただき、ピアノ弾語りのライブをさせていただきました。
そしてフラワーパーク鹿児島でのクリスマスライブや薩摩川内市の新田神社での「宮の森音楽祭」、いちき串木野市での「地かえて祭り」・・・何年にも渡って歌う機会を与えてくださった皆さんが居て下さいました。
毎月のように呼んで下さったイオンモール鹿児島でのミニライブがきっかけで出逢えた方も沢山いました。

番組のテーマソングやCM、映画の音楽として福井静の音楽を起用して下さった企業、団体の皆さん。広告関係の皆さん。そして映画関係の皆さん。
FM鹿児島で長年やらせていただいたラジオ番組でも、福井静の音楽に興味を持って下さる方とご縁が繋がる、貴重な機会を与えていただいたと思います。
またライブをさせていただく場所ごとで、沢山のスタッフの方にも出逢いましたが、「一緒に素敵なライブを創ろう」と、気持ちを持って関わって下さった方が多かったことも、幸せでした。


なにより、CDやライブで曲を聴いて下さった方から頂く言葉は、私にとって心の支えでした。
私の音楽活動を支えて下さったファンの皆さんが、この10年間とっても大切な存在でした。

「”ごめんね”の歌詞、自分の経験と重なるようで、慰められた」と秘密を打ち明けるように教えて下さった方もいましたし、 「”ホームタウン”を聴くと、生まれ育った故郷を思い出して懐かしさが蘇るよ」とか 「”ナチュラル”に出逢えてよかった、この曲が心の支えだった」と言って下さる方も沢山いてくださって・・・。
そんな曲に対する感想や想いを皆さんからいただく度に、「シンガーソングライターとして活動してきてよかった」と強く感じ、もっと良い曲を創りたい、というパワーの源でした。

また、ライブの時、私はいつも、聴いて下さる皆さんの顔や表情を見ながら歌ってきたので、じーっと聞き入って下さる方が居たら、より一層歌に力も入りましたし、ポロポロ涙をこぼされる方がいたら、音楽が心の支えになれたら良いな、という想いで、自然と、その方に語りかけるように歌っていた気がします。
沢山の場所でライブをさせていただきましたが、一回一回のライブで、皆さんに力を頂き、歌を伝える事への自信も頂き、音楽活動を頑張ってこられたと思います。


沢山の方々のおかげで、10年間、充実した音楽活動を続けることができ、自分なりにちゃんと最後を締めくくる事が出来たと思います。

納得できる作品を発表していきたい、というこだわりの為、マイペースな音楽活動になってしまい、皆さんをヤキモキさせてしまった事もありました。
それでも、ずっと温かく応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました。

今後は、「シンガーソングライター福井静」が新曲を発表する事も、プロとして皆さんの前で歌を歌う事もありません。

でも、これまで発表してきた楽曲たちは、いつまでも消える事なく残ります。
よろしければこの先も、福井静の音楽を愛し、時々は聴いて、じっくり楽しんでいただければ幸いです。

今まで、福井静の音楽活動を応援していただき、本当にありがとうございました。

   福井 静

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