曲紹介

ライナーノーツ

福井静のプロデューサー橋本浩克が語る。制作裏話、こぼれ話です。

新曲の紹介はもうしばらくお待ち下さい。

・ごめんね
この曲は、約二年ほど前にスタジオで福井から「こんなのも考えてみたんですけど・・・」と言って聴かせられたモチーフ(素案)から生まれたものです。福井は「メロディーはなんだかすぐに出来て、一気に作ってしまった」と言っていました。
福井との作業の中で、だいたいの作品は、詞も曲も、モチーフからいろいろと打ち合わせを重ねながら練り上げて行くのですが、この曲はメロディの流れのよさと、心地よさに、「メロはこのままでOK!」と即決。福井はあまりに短時間で一気に作ったメロディが、あっさりとOKされたことに「本当にいいんですかねえ、、、」と、ちょっと戸惑っていました。
詞については、初めに仮で付いていた詞は、男女の普通の別れに関するものでしたが、このメロディに仮で付いていた詞の、「ごめんね」という言葉とメロディの調和が、なんとも情感があり、これを柱にしながら全面的に何度も見直し、結局はとっても哀しい質感の詞曲が出来上がったわけです。

そして数名の関係者たちに一人ずつ、福井の弾き語りで録ったプリプロのトラックを聴いてもらったところ、なんと女性のうち約半数が曲の途中で号泣!(こんなときに立ち会うと焦ります、、)男性も多くの人が黙りこくってしまい、過去の別れ(悪行??)の記憶や反省に、その後も暫くおとなしくなるという、なんとも製作中の曲の試聴のシーンではあまり体験したことのない不思議な情況に、関係者の一人は「まるで爆弾みたいな作品だね」と言い出す始末でした。

この作品をレコーディングするにあたり、詞曲の情感と、福井の歌声の質感をできるだけ損なわないということを第一として、オケはピアノ一本を柱にと決めていました。数人のピアニストの人に声をかけ、熟考の結果、一枚目の作品でもピアノとアレンジを担当してくれた新進のミュージシャン、杉本優くんを起用しました。ピアノのフレーズについても、「ワンタッチ、一音でも大切に、なおかつ音数を極限まで削る」というテーマに沿って、数日にわたりスタジオでの試行錯誤を繰り返して、トラックが完成しました。
福井は、歌録りの数日前から気持ちを集中して、まるでオリンピックの競技直前のアスリートのような表情と気配で録音ブースに入りました。「とにかく聴いてくれる人に、この曲の情感を本当に強く伝えたい」という想いが、マイクを通じてスタジオ全体にビリビリと伝わってきます。数回の歌唱のあと、「OK!お疲れ様!」という声をかけると、「いやあ、、、おつかれさまでしたぁ!」とここ数日見ることのなかった、ひとなつっこい笑顔でブースから出てきた福井の表情の変化に、驚かされたものです。

このたび、2枚目のシングルにこの曲を選ぼうと決めたのは、福井をはじめわれわれ全員一致の結論でした。ぜひ、落ち着いた時間にじっくりと、この哀しくて切ない、そしてとても愛情に満ちた曲を聴いていただきたいと思います。

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